よくある色校正の間違い
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制作のコツ
[コラム]
本章は、日々、印刷現場でビジネスを展開している創業28年の株式会社ノーブランドがまとめた記事です。実際のビジネスの現場で使える知識ですので、ぜひ、ご参考いただければ幸いです。今回は、よくある色校正のトラブルを回避するため、色校正が必要なケースと要らないケースなどをわかりやすくまとめました。
日々のパンフレット・カタログ制作の参考にしてください。
目 次
本番印刷の前に、仕上がりの色味確認のために試し刷りをすることを『色校正』と言います。
最近では、コストカットのために『色校正』を省略する方が多いですが、仕上がりに高い精度を求める方は、必ず色校正を行いましょう。また、色校正には『本機校正』と『簡易校正』があり、それぞれ出力の方法が異なります。
ケースに応じて、適切に選択するようにしましょう。以下に詳しく解説いたします。
「本機校正」とは、実際の本印刷機・印刷紙を使用して試し刷りを行う方法です。実際の納品物と同じ紙質にて色味を確認できますので、事前に仕上がりを確実に確認したい場合は、必ず本機校正を取り入れましょう。
特に、アート系の写真集や美術作品など、印刷の仕上がりに高い精度を求められる方は『本機校正』をお選び下さい。
ただし、本機校正は(以下に説明する)簡易校正よりも、1回あたりの費用が高くなります。
本機校正で校正を行えば、確実に同じものが納品されると想定して間違いはありません。
格安印刷で有名な印刷会社では、本機校正を1回依頼すると、約9,000円(両面カラー)がかかります。本機校正では、1回で約5部受け取ることができるため、担当者が色味を確認できます。しかし、1回の校正で満足できない場合は、再度色校正が必要になります。納得するまで本機校正を繰り返すことになるため、最終的に費用が高くなる可能性もあります。
「簡易校正」は、上記の本機校正よりも、もう少し簡単な方法で印刷仕上がりを確認する校正方法です。
校正用の印刷は、本印刷機ではなくオンデマンド印刷機、または、インクジェットプリンタにて印刷を行います。
オンデマンド印刷機での出力の場合は、実際の紙質に近い用紙に出力し、インクジェットプリンタでの出力の場合はインクジェットプリンタ専用紙で出力します。
いずれも本番で使う紙ではありませんので注意してください。
しかし、本機校正よりも、1回あたりの校正料金が安価に印刷イメージを確認できるというメリットがあります。
格安印刷で有名な印刷会社では、簡易校正を1回依頼すると、約1,300円(両面カラー)がかかります。これは1部の料金で、2部目以降は1部あたり700円の追加料金が発生します。必要な部数を自由にオーダーすることが可能です。簡易校正は本機校正とは目的が異なるため、多くの場合、1回で校正が完了します。
本機校正でも簡易校正でも、色校正を行う場合は、通常の制作工程に数日余裕を見ておく必要があります。
多くの印刷会社では、校正用の印刷に1〜2営業日かかります。また、印刷データを入稿してから、校正紙が完成し手元に郵送で届くまで、合計で3〜4営業日かかります。
さらに、お客様の確認やデザイン制作会社との調整を考慮すると、全体で1週間ほど余分に時間がかかると見込んでおくと安心です。
時々、色校正の目的を誤解されることがあります。色校正は「試し刷り」であり、色味や印刷の仕上がりを確認するためのものです。そのため、「誤字脱字」などの文字の間違いをチェックするための工程ではありません。色校正に入る時点で、文字校正はすべて完了している必要があります。(写真の確認も含まれます)
文字校正と色校正は根本的に異なるものであることを、しっかり理解しておきましょう。
どれだけ丁寧に文字校正をしても、稀に色校正の際に誤字や脱字が見つかることがあります。人間は見落としをすることもあるので、避けられない場合もあります。
もし色校正中に誤字や脱字が見つかり、データの差し替えが必要になった場合は、修正後のデータをもう一度印刷会社に入稿(再入稿)します。この際、追加費用が発生することや、納期が延びる可能性があるため、注意が必要です。
色校正に進む前に、必ずすべての文字校正とチェックが完了していることを確認しましょう。
会社案内や商品カタログ、ブランドブックなど、企業イメージに直結する印刷物を制作する場合、色校正は非常に重要です。特に企業のロゴカラーなどを正確に再現する必要がある場合は、色校正は「必須」と考えてください。
一方で、色やイメージの再現にそれほど厳しくない一般的な会社案内パンフレットであれば、色校正を省略しても問題ないことが多いです。
写真集、アートブック、ファッション雑誌などは、色の正確さが求められる印刷物です。
これらの印刷では色校正が不可欠です。
印刷の品質で、大きくイメージが変わってしまうものは色校正が必要であると抑えておきましょう。
校正をすることで、印刷ミスによる大きな損失を事前に防ぐことができます。
何部以上なら色校正が必要かという明確な基準はありませんが、印刷費用の総額で判断するのが良いでしょう。たとえ印刷費が比較的安くても、そのコストを無駄にしたくない場合は色校正を行うべきです。
最終的には、各自の状況に応じて判断しましょう。
特色や金・銀などの特殊インクを使う印刷は、非常に繊細です。また、エンボス加工などの特殊加工を行う際も、色校正で仕上がりを確認することは、仕上がりのズレを防ぐために効果的です。
ただし、特殊印刷の場合、色校正の料金が高くなることがあるため、事前にコストを確認しておきましょう。また、エンボス加工などの特殊加工は、校正自体ができないことも多いです。
そのような場合は、初回の印刷部数を少なめにして仕上がりを確認するなど、工夫をするのも良い方法です。
パンフレットやカタログのデザインを手がける企業では、顧客が色の正確さにこだわる場合や、色校正を明示的に要求している場合、必ず色校正を行うべきです。色校正が必要かどうかは状況によりますが、顧客が希望する際は必ず対応しましょう。
基本的に、色校正は重要な工程です。ただし、最近ではパソコン上でPDFなどを使って色味を確認することが一般的となり、色校正を省略するケースも増えています。しかし、本来はすべての印刷物で色校正を行うことで、安心して印刷に取りかかることができます。
印刷物全体が、文字主体でありモノクロ(白黒)印刷物の場合、色校正の必要性は低くなります。
色校正は色味の確認を目的とするので、基本的にカラー印刷で必要になる工程です。
社内で使用する少部数の資料などは、色の正確さがそれほど重要でない場合は省略可能です。
あくまでも印刷の仕上がりが悪かった時に、損失がでるケースで色校正は必要になります。
納期が迫っている場合や予算が限られている場合、色校正を省略することがあります。前述の通り、色校正には「本機校正」でも「簡易校正」でも、やりとりに約1週間かかります。印刷に必要な期間に加えて1週間が必要となるため、短納期での印刷を希望する場合、物理的に色校正を行うのは難しくなります。
過去に同じ印刷会社で、同じ用紙や印刷条件で印刷した実績がある場合、色校正を省略できる可能性があります。100%同じ仕上がりになるわけではありませんが、ほとんど気にならない程度の誤差しか生じないことが多いです。
ただし、前回と少し色味が異なる場合もあるため、不安な場合は色校正を行うことをおすすめします。
印刷物の色が想定していた色と大きく異なる場合があります。
特に、食品や化粧品などの商品写真では、微妙な色の違いが消費者の購買意欲に影響を与える可能性があります。
パソコン上のPDFで確認した色味と、実際の印刷仕上がりでは、多少の誤差がでます。
大きなトラブルにならないよう、制作会社や印刷会社に相談して進めましょう。
写真やイラストなど、ビジュアルが重要な印刷物では、実際の印刷で繊細なグラデーションが再現されないことがあります。パソコンのPDFでは綺麗に見えていても、印刷時に再現できない場合があるためです。
このように、印刷品質が低下する可能性があるので、特に緻密なデザインをしている場合は注意が必要です。
印刷の仕上がりで、一番怖いのが刷り直しのリスクです。
色の不一致が深刻な場合、印刷物の刷り直しが必要になる可能性があります。これは追加のコストと時間を要します。
刷り直しの場合は、基本的に2回印刷する費用がかかります。
明らかに印刷会社のミス出ない限り、全額負担する必要がありますので注意が必要です。
特殊な紙や凹凸のある素材に印刷する場合、通常のモニター表示と大きく異なる結果になる可能性があります。
印刷が鮮明にならなかったり、色が極端に沈んでしまいイメージが違ったりと、深刻なエラーに繋がります。
特殊な紙を使って印刷する場合は、特に慎重に行いましょう。
企業のロゴやブランドカラーが正確に再現されない場合、ブランドイメージに悪影響を与える可能性があります。
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